日常生活と自転車生活の向上に、毎日ストレッチをしよう
日常生活と同様に、スポーツとしての自転車で最大限のパフォーマンス発揮するためには、柔軟性が重要だ。バイクのメンテナンスのことを考えてみよう。チェーンに注油をすれば、動きがスムーズになり、より速く走れると思うだろう。もし、関節がスムーズに動かなかったら、脚とバイクを動かすのに余計な力が必要になる。柔軟性を欠くと、動きに対して抵抗を生じることになる。
柔軟性に影響を与える要素は多い。遺伝、性別、骨格、靭帯などは、変えることができない。筋肉のバランスを欠くと(例えば、大腿四頭筋が強くて、ハムストリングが弱い場合)、筋肉の収縮を引き起こし、硬直しがちになる。しかし、最も重要なことは、柔軟性は時間をかけて向上させることが可能だということだ。ストレッチを行えば行うほど、体はより柔軟になる。筋力と同様に、もしトレーニングを怠ると、柔軟性も低下してしまう。つまり、大事なのはストレッチを毎日行うことだ。
柔軟性を欠く、とは、筋肉や結合組織(靭帯)が硬直している状態だが、関節が十分温まっていない場合にも起こる。そのため、トレーニング(ライド、筋力トレーニング、ストレッチなど)を開始する際は、まず、10~15分のウォームアップを行ってから始めるとよい。ウォーキングや軽いライディングなど、一般的な運動から始める。そして、徐々に強度とそれぞれに特化したたトレーニングに入る。つまり、ライドならライド、上半身の筋力トレーニングなら、腕と体幹のトレーニングを開始する。
ストレッチは、常に体幹の温度が温まってから行うこと。ストレッチを行う前に、楽な有酸素運動を10分程度(ストレッチをしようと思う部分に集中して)組み込んでほしい。特に、下半身のストレッチを行う場合には、軽くペダルを回すか、ジョギング、またはジャンピング?ジャック(ジャンプして足を開き、手を頭の上で合わせ、次にジャンプして足を閉じ、手を体の脇に戻す体操)を行うとよいだろう。徐々に体温を上げることはとても重要である。何故なら、それによって血流が内臓器官から骨格筋へ促されるからだ。徐々に体温が上がると、関節の滑液が温まり、サラサラになることで、関節が滑らかになり、動作に備えることができる。
つまり、もしライドに出かけるのなら、まずは素早くウォームアップを行い、一旦バイクから降りてストレッチしてからまたバイクに乗るとよい。ロングライドの時は、休憩時にストレッチを行うのもよいだろう。
ライドの前にストレッチを行うと、関節の動きを滑らかになり、パフォーマンスを最大限に発揮できる。走行中のストレッチも、体の柔軟性を保ち、乳酸とその他筋肉の老廃物の蓄積を和らげる助けとなる。これらが蓄積すると、筋肉疲労の原因になると言われている。ライド後のストレッチも走行後24~72時間後に発生する遅発性筋肉痛(DOMS)の減少につながる。
ストレッチの際は、一つの姿勢を最低10秒間は維持すること。時間は長いほどよい。伸ばしている筋肉をリラックスさせるように努めること。こうすることで、さらに深くストレッチを行うことが可能だ。呼吸は続け、意識はストレッチをしている筋肉をリラックスさせることに集中する。休憩を挟み、再び10秒以上のストレッチを行う。反動をつけたストレッチは決して行わないこと。筋肉の伸びを感じながらストレッチを行うが、痛みを生じる前には止めること。関節の位置にも注意を払うこと。関節が不自然な位置にある状態でストレッチを行わないこと。例えば、大腿四頭筋のストレッチの時に膝をねじったりしないこと。不適切な位置でのストレッチは、関節にストレスがかかり、痛みや怪我につながる。